こんにちは、はじめです。
この記事は「コツ」の詰め合わせです。体系的な練習手順は練習方法の記事に書いたので、ここでは練習時間を増やさずに効率を上げる小技だけを、効果が大きかった順に10個並べます。
1. 弾けない箇所「だけ」弾く
最強のコツを最初に。
1曲の中で本当に弾けないのは、たいてい2〜3箇所です。なのに多くの人は毎回頭から弾いて、弾ける9割に時間を使い、弾けない1割を素通りします。
練習とは、弾けない箇所を弾ける箇所に変える作業だけを指します。それ以外は演奏(=ご褒美)です。この区別をつけた日から、上達速度が別物になりました。
2. テンポを「恥ずかしいくらい」落とす
弾けない箇所は、弾ける速度まで落とせば必ず弾けます。原速の30%でもいい。
「ゆっくりで正確」を繰り返すと、脳が正しい運動を記憶します。「速くて雑」を繰り返すと、雑が記憶されます。急がば回れが物理法則レベルで成立する世界です。
3. リズム変奏で潰す
16分音符の速いパッセージが転ぶときの特効薬です。
「タタタタ」を「タータ・タータ」(付点)や「タ・ターター」(逆付点)のリズムに変えて練習する。リズムを歪ませることで、指の動きの偏りが矯正されます。昔からある古典的な方法ですが、効果は今でも一級品です。
4. 左手だけの日を作る
大人の演奏が安定しない原因は、だいたい左手です。メロディを歌う右手に意識が偏って、左手が置き去りになる。
週に1回、曲の左手だけを練習する日を作ってみてください。左手が自動運転になると、右手の表現に全リソースを回せるようになります。
5. 寝る直前に練習する
運動の記憶は睡眠中に定着します。つまり練習→即就寝は、記憶効率が最高の黄金パターンです。
電子ピアノ+ヘッドホンなら深夜でも弾けます。寝る前の15分、おすすめです。
6. 録画は「音だけ」でも聴き返す
自分の演奏の録画を、画面を見ずに音だけで聴いてみてください。
映像付きだと「指が動いてる自分」に満足してしまいますが、音だけにすると粗が容赦なく聞こえます。リズムのヨレ、音量のムラ。聴衆が聴いているのはこの「音だけ」の世界です。
7. 楽譜に書き込みまくる
指番号、注意記号、ブロックの区切り線。楽譜は綺麗に使うものではなく、作戦地図として汚すものです。
消せるように鉛筆で。同じ場所で3回ミスしたら、そこに印を付ける。印だらけの箇所があなたの「本当の練習場所」です。
8. 弾く前に5秒、手の力を抜く
弾き始める前に、腕をだらんと下げて脱力を確認する。たった5秒の儀式ですが、力んだまま弾き始めるのを防げます。
力み癖は音を硬くするだけでなく、疲労と腱鞘炎の原因です。大人は特に力みやすいので、この儀式をルーティン化する価値があります。
9. 「今日の1個」を決めてから座る
「今日はこの4小節の左手」のように、座る前に今日のターゲットを1個決める。
目標なしに座ると、なんとなく通し演奏をして終わります(それは練習ではなくご褒美です)。1日1個の的を潰す意識で、15分が濃くなります。
10. 完成した曲を「弾き続ける」
最後は保守の話。仕上げた曲も、放置すると3ヶ月で錆びます。
週に1回、レパートリーを1曲通す「メンテナンス枠」を作ってください。人前で弾ける十八番は、この維持管理から生まれます。100曲のレパートリーとは、100曲分のメンテナンスの結果でもあります。
まとめ
全部やる必要はありません。まず1と2だけでいいです。
「弾けない箇所だけを、ゆっくり弾く」。地味すぎる結論ですが、15年の結論です。コツとは魔法ではなく、無駄の削除なんですよね。